車内の空気は冷え切っていた。
家まで送ると直江が言いだして、高耶が乗り込んだまではよかった。
噛み合わない会話に高耶が苛立ち始め、それを受けて直江の発言はますます荒む。
もう意見のすり合わせはよそうと互いに諦めてしばらく経った頃、山間の道の車窓が、赤く染まり始めた。
顔を出したばかりの太陽が、樹々の葉を照らし出し始めたのだ。
それは、見事な紅だった。
山全体が、その色で、自分たちに何かを訴えかけているようだった。
「───……」
声に出さなくとも、傍らの感動が伝わって来る。
いや、敢えて言葉にするのは止めた。
口にしてしまうと、消えてしまいそうで怖かった。
互いに感じているものが同じなら、それでいい。
互いへの想いが同じなら、それでよかった。
今、この感動をあなたと共有できることが嬉しい。
奇跡のようなこの瞬間を、おまえと分かち合えることが嬉しい。
遠い昔、二度と得られぬのかと絶望したものを、あなたは再び与えてくれた。
誰も自分にやらなかったことを、おまえは当たり前のようにしてみせた。
あなたと生みだすこの空気が、心の傷を癒してくれる。
おまえと紡ぐこの信頼が、明日への一歩を踏み出させてくれる。
最後の最後に残るのは、いつだって互いへの想い。
その事実は、永久に変わらない。
心の底から愛しいのは、あなただけ。
心の底から必要なのは、おまえだけ。
家まで送ると直江が言いだして、高耶が乗り込んだまではよかった。
噛み合わない会話に高耶が苛立ち始め、それを受けて直江の発言はますます荒む。
もう意見のすり合わせはよそうと互いに諦めてしばらく経った頃、山間の道の車窓が、赤く染まり始めた。
顔を出したばかりの太陽が、樹々の葉を照らし出し始めたのだ。
それは、見事な紅だった。
山全体が、その色で、自分たちに何かを訴えかけているようだった。
「───……」
声に出さなくとも、傍らの感動が伝わって来る。
いや、敢えて言葉にするのは止めた。
口にしてしまうと、消えてしまいそうで怖かった。
互いに感じているものが同じなら、それでいい。
互いへの想いが同じなら、それでよかった。
今、この感動をあなたと共有できることが嬉しい。
奇跡のようなこの瞬間を、おまえと分かち合えることが嬉しい。
遠い昔、二度と得られぬのかと絶望したものを、あなたは再び与えてくれた。
誰も自分にやらなかったことを、おまえは当たり前のようにしてみせた。
あなたと生みだすこの空気が、心の傷を癒してくれる。
おまえと紡ぐこの信頼が、明日への一歩を踏み出させてくれる。
最後の最後に残るのは、いつだって互いへの想い。
その事実は、永久に変わらない。
心の底から愛しいのは、あなただけ。
心の底から必要なのは、おまえだけ。
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