過保護Ⅱ 1/3

ああ～ん、直江～
おなか空いたよ～
どっか店入ろうよ～

俺は空いてない

……ケチっ

□

またせたな
あー、腹減った
なんか食っていい？

自分で払えよ

ちっ……
景虎を連れてくるべきだったか

□

直江、ちょっとコンビニ寄ってくんねーかな
腹減っちゃって

じゃあ、どこか店に入りましょうか

いや、いーよ
小腹が空いただけだから

あなたに出来合いのものなんて食べさせられません

コンビニのおにぎりだってけっこーうまいんだぜ？
お前も食ってみれば？

………じゃあ、たまには

コンビニで楽しそうにおにぎりを選ぶふたりだった。

過保護 3/3

わりぃ、待った？

おせーよ

やだ、景虎、その手首の包帯！
どーしたのよそれ

体育でちょっとひねった

先週のバスケんときだろ
若いくせに治りがおせーよな

るせーよ
でも右手だからすげえ不便
おとといなんか直江の服にコーヒーこぼしちゃってさ

ひぇっ！あのたっかいスーツに！？

やっぱたけーのかな

ウン十万とかすんだろ

げっ、そんなすんの？あいつ全然そんなこと言ってなかった

私がやったら確実にクリーニング代取られるわ……

目に浮かぶぜ
"安物ですから気にしないでください"（低音）

いや、"あなたにかからなくてよかった"って手ぇ握られた

………

………

過保護 2/3

廊下にある、ほんのわずかな段差の前で高耶は思わず立ち止まった。
直江が手を差し出してきたからだ。

いくらなんでもここはひとりで降りられるだろ
じーさんじゃあるまいし

怪我、してるでしょう

してっけど、すりきずだぜ

無理は禁物ですよ

……ほんと過保護だよな

結局、高耶は手を掴んで段差を降りた。

過保護 1/3

高耶はこたつに入っていた。
肩からは10枚以上の毛布がかけられていてかなり重そうだ。
すぐそばには電気ストーブ。
何かの罰ゲームにみえなくもない。

俺が言うのもアレだけど　お前って過保護だよな

そんなことありませんよ

じゃあ何で俺はこんな雪だるまみたいになってるんだ？

それはあなたが寒いと言ったからでしょう

そりゃ言ったけどさ
これじゃ、あっついんだけど

……わがままなひとだ

脱がせにかかる直江。

俺はマトリョーシカかっつーの

どっちかというと白菜ですね

………