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 パチパチと、おなじみの音が優しく耳に響く。
 線香花火を手に持って、高耶と直江は向かい合っていた。
「おふくろがいた頃はほんとによくやったなー。美弥、ちゃんと覚えてっかな」
「覚えてますよ。そういうことは忘れないものです」
「そっかなー」
「橘家も毎年必ず兄の子供たちとやっていますよ。彼らもきっと覚えていてくれてるでしょう」
「覚えてんだろ。義明おじちゃんにいっつも横取りされたなーとかな」
 揶揄するような高耶の表情を、美しくも儚い火花が照らし出す。
「そんな、大人げない事はしませんよ。おじちゃんとも呼ばせてませんし」
「んじゃあ、何て?」
「義明おにいちゃま」
「……へえ」
 多少引き気味に、返事をする高耶だった。
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