太陽に手をかざすと、指の合間から光が溢れた。
昼間の祖谷は、夜とはまた違った動物たちで賑やかになる。
その邪魔にならないよう、高耶は大きな石の上に横たわっていた。
雲ひとつ無い、真っ蒼な空。
だがしかし、今日が朔であることを高耶は知っていた。
痛い程に眩しい太陽光が、ひとつだけ残ったまともな眼球を痛めつけても、
高耶の視線は青空を彷徨う。
どうしても探してしまうのだ。
太陽の傍にあるはずのもの。
しかしどこにも見当たらなかった。
間違いなく、そこにあるはずなのに。
光に敗けて、姿すら現せない月。
(直江………)
高耶の目尻から、一筋の雫がこぼれた。
昼間の祖谷は、夜とはまた違った動物たちで賑やかになる。
その邪魔にならないよう、高耶は大きな石の上に横たわっていた。
雲ひとつ無い、真っ蒼な空。
だがしかし、今日が朔であることを高耶は知っていた。
痛い程に眩しい太陽光が、ひとつだけ残ったまともな眼球を痛めつけても、
高耶の視線は青空を彷徨う。
どうしても探してしまうのだ。
太陽の傍にあるはずのもの。
しかしどこにも見当たらなかった。
間違いなく、そこにあるはずなのに。
光に敗けて、姿すら現せない月。
(直江………)
高耶の目尻から、一筋の雫がこぼれた。
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