家の前まで戻ってきた高耶は、階段を上る手前で立ち止まってしまった。
自分はいったい、今日という日に何を期待してるんだろう。
ここに戻ってくれば、あのダークグリーンの車が家の前に停まっているとでも思ったの
だろうか。
今日は一日中、ずっとそわそわしていた気がする。
電話が鳴る度、チャイムが鳴る度に何かを意識していたと思う。
(馬鹿だ)
重い足を引きずるようにして、階段を上った。
「どこ行ってたの~!」
友達と出かけていたはずの美弥は、もう家に戻っていたようだ。
「………わりぃ」
「うわっ、告白っ!?」
手にした綾子のチョコレートに、敏感に反応してくる。
「いや、義理」
「なーんだっ」
「美弥こそどうした、あのチョコ」
「へへ~秘密だよ~♪」
浮かれているところをみると、それなりにうまくはいったようだ。
安心したような許せないような、複雑な気持ちで笑顔を浮かべた高耶は、テーブルの上
に置かれたダンボール箱に眼を留めた。
荷送人欄の氏名をみて、心臓が跳ねる。
「あ、それおにいちゃん宛てで届いたの」
美弥は無邪気に尋ねてくる。
「橘さんって誰?」
それには答えることができずに、無言で箱を部屋へと持ち込んだ。
軽い割には大きな箱を、勉強机の上に置いてはみたものの、開けることができない。
自分の馬鹿な期待を、見透かされてるようで嫌だった。
仮にこれを開けてみて、見当違いのものが入っていたら?
何の飾り気もないダンボール箱。
あの男が現在調査中の事件に関する資料か何かかもしれない。
いや、何が入っていたって、心は軽くならない。
家族と、学校と、使命と、それから………。
机の上には、色も大きさも異なる箱が四つ、置かれている。
その四つの包みは、まるで高耶の今の悩みを象徴するかのようだった。
自分はいったい、今日という日に何を期待してるんだろう。
ここに戻ってくれば、あのダークグリーンの車が家の前に停まっているとでも思ったの
だろうか。
今日は一日中、ずっとそわそわしていた気がする。
電話が鳴る度、チャイムが鳴る度に何かを意識していたと思う。
(馬鹿だ)
重い足を引きずるようにして、階段を上った。
「どこ行ってたの~!」
友達と出かけていたはずの美弥は、もう家に戻っていたようだ。
「………わりぃ」
「うわっ、告白っ!?」
手にした綾子のチョコレートに、敏感に反応してくる。
「いや、義理」
「なーんだっ」
「美弥こそどうした、あのチョコ」
「へへ~秘密だよ~♪」
浮かれているところをみると、それなりにうまくはいったようだ。
安心したような許せないような、複雑な気持ちで笑顔を浮かべた高耶は、テーブルの上
に置かれたダンボール箱に眼を留めた。
荷送人欄の氏名をみて、心臓が跳ねる。
「あ、それおにいちゃん宛てで届いたの」
美弥は無邪気に尋ねてくる。
「橘さんって誰?」
それには答えることができずに、無言で箱を部屋へと持ち込んだ。
軽い割には大きな箱を、勉強机の上に置いてはみたものの、開けることができない。
自分の馬鹿な期待を、見透かされてるようで嫌だった。
仮にこれを開けてみて、見当違いのものが入っていたら?
何の飾り気もないダンボール箱。
あの男が現在調査中の事件に関する資料か何かかもしれない。
いや、何が入っていたって、心は軽くならない。
家族と、学校と、使命と、それから………。
机の上には、色も大きさも異なる箱が四つ、置かれている。
その四つの包みは、まるで高耶の今の悩みを象徴するかのようだった。
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