「よぉ」
橘家のチャイムを押すと、大事をとって学校を休んでいた橘が玄関先まで迎えに出てきてくれた。
だから奥村は、遠慮がちに声をかけたのだ。
腕に巻かれている真っ白な包帯が痛々しい橘は、ものすごく驚いた顔でこちらをみている。
「こんにちは、橘くん」
「ごめんねー、突然」
「怪我のほうはどう?」
奥村の背後から、次々とクラスの女子達が声をかけた。
決して奥村が一緒に行こうと誘った訳ではない。
自分をだしにしたい女子達に散々せっつかれて、断りきれなかっただけなのだ。
しかし。
「……奥村」
じっとりと睨みつけてくる橘の背後に、『後で覚えてろよ』の吹き出しがみえる。
(ひぃっ………)
奥村が冷や汗をかきながら見つめ返した橘の表情が、次の瞬間、しまったという顔になった。
「あらあらあら、こんなにたくさん」
橘の母君が、嬉しそうな顔でやってきたからだ。
「義明さん、とにかく上がって頂きなさい」
「……はい」
お邪魔しまーす、と次々に玄関に吸い込まれてい女子達を見届けた後で。
「で、どのお嬢さんがお嫁さん候補なのかしら?」
「お母さん……」
真顔で尋ねてくる母親に、橘は頭が痛むとばかりに額に手をやった。
百年前の幽霊は退治できても、自分の母親には勝てないのだな、と内心笑ってしまった奥村だった。
橘家のチャイムを押すと、大事をとって学校を休んでいた橘が玄関先まで迎えに出てきてくれた。
だから奥村は、遠慮がちに声をかけたのだ。
腕に巻かれている真っ白な包帯が痛々しい橘は、ものすごく驚いた顔でこちらをみている。
「こんにちは、橘くん」
「ごめんねー、突然」
「怪我のほうはどう?」
奥村の背後から、次々とクラスの女子達が声をかけた。
決して奥村が一緒に行こうと誘った訳ではない。
自分をだしにしたい女子達に散々せっつかれて、断りきれなかっただけなのだ。
しかし。
「……奥村」
じっとりと睨みつけてくる橘の背後に、『後で覚えてろよ』の吹き出しがみえる。
(ひぃっ………)
奥村が冷や汗をかきながら見つめ返した橘の表情が、次の瞬間、しまったという顔になった。
「あらあらあら、こんなにたくさん」
橘の母君が、嬉しそうな顔でやってきたからだ。
「義明さん、とにかく上がって頂きなさい」
「……はい」
お邪魔しまーす、と次々に玄関に吸い込まれてい女子達を見届けた後で。
「で、どのお嬢さんがお嫁さん候補なのかしら?」
「お母さん……」
真顔で尋ねてくる母親に、橘は頭が痛むとばかりに額に手をやった。
百年前の幽霊は退治できても、自分の母親には勝てないのだな、と内心笑ってしまった奥村だった。
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