「なんで変えた?」
高耶が唐突に聞いてきた。
今回は直江が一分隊を率いることになったのだが、その際の編隊を高耶の案から変更したことを怒っているようだ。
「同隊の者たちから提案があったので取り入れたまでです」
「これじゃあおまえの受け持ちが多すぎる。他の者の成長を妨げるようなことはするな」
それにおまえが踏ん張りきれなければ、作戦そのものが瓦解する、と高耶は語調を強める。
「そうなったらそうなったで、彼らも自ら案を出したことへの責任を重く受け止める。いい成長のチャンスです」
「そんな危ういやり方は認められない。おまえ、いったいいつからそんなやり方をするようになったんだ」
きっぱりと言い捨てた高耶に、直江は向き直った。
確かに上杉の頃の自分は慎重派で通っていた。今回直江が組み直した案は、むしろ以前の景虎のものに近い。
高耶のほうこそ、変わったのではないか。
「何をそんなに急いているんです?」
「……急いてなんかない」
「いいえ、焦ってる」
そう言われて眼を逸らす高耶は、思い当たるところがあるような顔だ。
「高耶さん」
少し柔らかく呼ぶと、高耶は顔をあげた。
「あなたが彼ら能力を引き出したいというのはよくわかる」
おまえ達はもっと出来るんだ、という高耶の叱咤が、この作戦案からは滲み出している。
「けれど、あなたの想いはもう既に皆に伝わっています」
だからこそ、彼らは自ら案を出してきたのだ。彼らは自分の能力をきちんと自覚している。
ならば。
「私のことも信じてくれませんか」
高耶が眼を瞠った。
自分も昔とは違う。離れていた間、景虎の陰にいた時とはまるで違う景色を見続けてきた。
もちろん今は高耶の傍らを勝ち取ることが第一ではあるが、それでも以前とは違った角度で高耶を支えていける自信はある。
「………わかった」
驚いた顔をしていた高耶は、観念したように言った。そして、
「おまえを信じてないわけじゃない。………心配なんだ」
揺れる瞳が切なげだ。
「わかってます」
そう言って頷いてやると、高耶も小さく頷いてみせた。
高耶が唐突に聞いてきた。
今回は直江が一分隊を率いることになったのだが、その際の編隊を高耶の案から変更したことを怒っているようだ。
「同隊の者たちから提案があったので取り入れたまでです」
「これじゃあおまえの受け持ちが多すぎる。他の者の成長を妨げるようなことはするな」
それにおまえが踏ん張りきれなければ、作戦そのものが瓦解する、と高耶は語調を強める。
「そうなったらそうなったで、彼らも自ら案を出したことへの責任を重く受け止める。いい成長のチャンスです」
「そんな危ういやり方は認められない。おまえ、いったいいつからそんなやり方をするようになったんだ」
きっぱりと言い捨てた高耶に、直江は向き直った。
確かに上杉の頃の自分は慎重派で通っていた。今回直江が組み直した案は、むしろ以前の景虎のものに近い。
高耶のほうこそ、変わったのではないか。
「何をそんなに急いているんです?」
「……急いてなんかない」
「いいえ、焦ってる」
そう言われて眼を逸らす高耶は、思い当たるところがあるような顔だ。
「高耶さん」
少し柔らかく呼ぶと、高耶は顔をあげた。
「あなたが彼ら能力を引き出したいというのはよくわかる」
おまえ達はもっと出来るんだ、という高耶の叱咤が、この作戦案からは滲み出している。
「けれど、あなたの想いはもう既に皆に伝わっています」
だからこそ、彼らは自ら案を出してきたのだ。彼らは自分の能力をきちんと自覚している。
ならば。
「私のことも信じてくれませんか」
高耶が眼を瞠った。
自分も昔とは違う。離れていた間、景虎の陰にいた時とはまるで違う景色を見続けてきた。
もちろん今は高耶の傍らを勝ち取ることが第一ではあるが、それでも以前とは違った角度で高耶を支えていける自信はある。
「………わかった」
驚いた顔をしていた高耶は、観念したように言った。そして、
「おまえを信じてないわけじゃない。………心配なんだ」
揺れる瞳が切なげだ。
「わかってます」
そう言って頷いてやると、高耶も小さく頷いてみせた。
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