視界が、桜色に染められた。
「そんなにヨカッタ?」
事の最中に意識が飛んでしまった高耶は、直江のその一言で目を開いた。
「んんんあああっっ……!」
それでも動きを止めない直江の身体の下から、息も絶え絶えに高耶が言う。
「昔の……ユメをみた……ッ」
「どのくらい昔?」
「あっ……ああっ……!」
堪えきれずに頭上を仰いだ高耶の目に、大きな樹の姿が飛び込んできた。
ああ、と思わず口にする。
「アレの……せいだ……」
「桜?」
やっと動くのを止めて、直江は自分の背後を振り仰いだ。
「春先には見事でしょうね」
直江のその言葉を聞いて、高耶は苦い顔になる。
(咲かせてやれないかもしれない)
大転換を行なえば、ある程度の気候変動が起こることは予測している。
もしかしたらこの先、何百年も生き続けるかも知れない、何の罪もない命すら殺してしまおうとしている自分。
背筋の凍りつく想いがした。
「怖い夢だったんですか?」
急に抱きついてきた高耶に、直江が優しい声になって訊く。
「………忘れさせてくれ」
そう言うと、直江は何も言わずに再びリズムを刻み始めた。
「そんなにヨカッタ?」
事の最中に意識が飛んでしまった高耶は、直江のその一言で目を開いた。
「んんんあああっっ……!」
それでも動きを止めない直江の身体の下から、息も絶え絶えに高耶が言う。
「昔の……ユメをみた……ッ」
「どのくらい昔?」
「あっ……ああっ……!」
堪えきれずに頭上を仰いだ高耶の目に、大きな樹の姿が飛び込んできた。
ああ、と思わず口にする。
「アレの……せいだ……」
「桜?」
やっと動くのを止めて、直江は自分の背後を振り仰いだ。
「春先には見事でしょうね」
直江のその言葉を聞いて、高耶は苦い顔になる。
(咲かせてやれないかもしれない)
大転換を行なえば、ある程度の気候変動が起こることは予測している。
もしかしたらこの先、何百年も生き続けるかも知れない、何の罪もない命すら殺してしまおうとしている自分。
背筋の凍りつく想いがした。
「怖い夢だったんですか?」
急に抱きついてきた高耶に、直江が優しい声になって訊く。
「………忘れさせてくれ」
そう言うと、直江は何も言わずに再びリズムを刻み始めた。
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