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『 雨 2/3 』≪≪    ≫≫『 手紙 5/5 ※完結後設定です 』   
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「すげえ雨だな」
 ホテルの部屋の窓辺に立って、千秋はそう言った。
 先程から降り出した雨は急激に勢いを増してきて、大きな窓を激しく叩きつけ
ている。
「そろそろ着くんじゃねーの」
 傍らには、部屋に備え付けの小さな椅子へ窮屈そうに腰掛ける小太郎がいた。
「景虎、駅から歩いてくんだろ」
「そのはずだが」
「………迎えにいってやれば?」
 そこまで言って、やっと小太郎は理解したようだ。
「そうだな」
 忍びらしからぬゆったりとした動きで、立ち上がる。
「フロントに言えば傘貸してくれるぜ」
「わかっている」
 見慣れた黒いスーツ姿で、小太郎は直江の仕草そのままに、部屋を出て行った。
 小さくため息をついた千秋は、眼鏡を外すとレンズを磨き出す。
「なんだよ」
 不機嫌な声で、千秋は言った。
「言いたいことがあんなら言えよ」
「……別にぃ」
 背後のベッドに腰掛けて、一連のやり取りを見ていた綾子が答える。
「なんだかんだ言って、面倒見がいいのよねえ」
「………あぁ?」
 眉間にしわを寄せる千秋に対して、綾子は満足げな笑みを浮かべた。
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