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『 雨 3/3 』≪≪    ≫≫『 雨 1/3 』   
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 改札口の真正面で待ち構えていた小太郎に、高耶は驚いた顔をした。
「何だよ」
「ひどい雨でしたので」
 迎えに参りました、と言うと、
「………そうか」
 決して嬉しそうな顔はしないけど、機嫌はよさそうだ。
「で?」
「はい?」
「何でひとつしかねーんだよ」
 高耶は小太郎の手元を指差した。
「カサ」
「……ああ」
 言われてみれば小太郎は、自分が差してきた傘を持っているだけだ。
 高耶の分がない。
 これでは迎えに来た意味がないではないか。
 思わぬ失態に言葉を失っていると、
「らしくねーな」
 めずらしく、高耶が笑った。
「相合傘なんて、嫌だぜ?」
 その笑顔に一瞬気を取られつつも、
「私は大丈夫ですから」
と、傘を差し出す。
「あなたが差してください」
───……」
 それに対して、高耶は首を横に振った。
 そして、空を見上げて瞳を細める。
「いらない」
 あれほどに激しかった雨も単なる夕立だったようで、空は明るさを
取り戻しつつある。
 雨粒も小さくなってきた。
「雨に濡れるのが好きなんだ」
 視線を、小太郎へと戻す。
「知ってるだろう?」
「……ええ」
 小太郎は、直江の微笑みを作りながら答えた。
 しかし何故か、心にちくりと小さな痛みを感じる。
───?)
 その痛みが、高耶の過去を知る直江への嫉妬心なのだとは、その時の
小太郎には知る術がなかった。
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