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『 バレンタイン 1/5 』≪≪    ≫≫『 カウントダウン 2/3 』   
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「降りないんですか」
「……………」
 何か言おうと思ったけど言うこともなくて、そのまま降りようとした高耶の腕を、直江の左手が強く掴んだ。
「待って」
 そう言って、直江は何故かラジオをつける。
 すると、にぎやかな音楽とともにカウントダウンの声が聞こえてきた。

 5!4!3!

 正に佳境に入ったその声に、高耶が思わず気を取られた瞬間、
「………っ……!?」
 不意に唇が塞がれた。

 2!1!! 明けまして、おめでとうございまあ~す!

 お祭り騒ぎのラジオの音が流れる車内で、高耶は必死に顔を離そうと抗う。
 やがて直江の唇が離れる頃には、高耶の呼吸は乱れきっていた。
「これで去年最後あなたと今年最初のあなたは俺のものになった」
 行動とは裏腹に、直江の口調はひどく冷静だ。
「こんなんで……オレを手に入れたつもりか……っ」
 高耶が必死に睨み付けると、鳶色の瞳がわずかに揺れた。
「あなたは永遠に手に入らない。それくらい知ってる」
 再び直江の身体が近づいてきて、高耶は身構える。
「でも一時だけなら手に入る」
「こんなの手に入れたことにはならない……っ」
 服の中に入ろうとする手を必死に押しとどめていたら、
「ん………っ」
 今年二度目のキスも、簡単に許してしまった。
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