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『 重陽 2/3 』≪≪    ≫≫『 金ちゃん 4/4 』   
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母が台所で、菊の花を花瓶に活けている。
 それを見て、照弘は思わず声をかけた。
「仏間に入りきらなかったんですか」
「違いますよ。宮下さんが持って来てくださったの」
 ああ、そういえばそんな時期か、と照弘は頬を撫でた。
「菊の節句ですか……」
 宮下さんといえば檀家さんのひとりで、庭で菊やら蘭やら
色々と凝ってやっている人なのだが、毎年この季節になると
必ず食用菊を届けてくれるのだ。
 とそこへ、末の弟がふらりと現れた。
「またしばらく留守にするかもしれません」
 そう、母に告げる。
「まあ、またですか!?今度はどこ」
「まだはっきりとは」
 そう答える弟の顔は、何だか少し疲れて見える。
 母もそれを察したのか、
「決まったら、ちゃんと言うんですよ」
 それ以上は声を荒げなかった。
「ええ」
 弟を見つめる、心配そうな母の横顔……。
「義明」
「はい」
「今晩、どうだ」
 照弘は弟に向かって、杯を傾ける仕草をした。
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